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60年代当時の実験的な音楽家達からビートルズが受けた影響

サウンドルーツ
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現在なら簡単に作れるサウンド・エフェクトも60年代ではありとあらゆる創意工夫をして作り出さねばならない時代でした。

前衛音楽的アプローチをはじめたビートルズ

ビートルズが活躍した60年代とは違い、デジタル全盛時代の現在では、極端な話、鍵盤とパソコンひとつさえあれば、あらゆる音楽はもちろんあらゆるサウンド・エフェクトが可能です。まあ、作曲となると才能やセンスは必要になるとは思いますが・・・。

ビートルズは60年代後半、前衛音楽的アプローチをはじめています。あくまでも推測ですが、ビートルズの前衛音楽的アプローチの影にはたとえば、ジョン・ケージやダグラス・リーディらの、いわゆる前衛(芸術)音楽家達の影響があったのではないかと考えています。

「リボルバー」で現れた前衛音楽的試み

66年に発売されたアルバム「リボルバー」では、テープの逆回転効果を「アイム・オンリー・スリーピング」で上手に使っています。また、同アルバムの「トゥモロー・ネバー・ノウズ」からも、前衛的な試みを聴く(感じる)ことができます。

ビートルズのアルバムでのサウンド的変化は、前アルバム「ラバー・ソウル」から感じられますが、あくまでもそれは「一人ぼっちのあいつ(Nowhere Man)」のギターの音のような高音を強調したイコライジング(音質面)だけでした。

「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」

「リボルバー」に次いで67年に発売された名アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」。

ここでは一歩進んで、単に楽器の音に変化を与えるにとどまらず、たとえば自動車(エンジン)の音、動物の鳴き声、人ごみ(雑踏)の中にいるような騒音などの音が電気的な操作で作られ、そのサウンドが、アルバムの随所に散りばめられています。

また「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」では、1曲の中に異なるモチーフ同士をなかば「強引」につなぎ合わせているのがわかります。これも前衛(実験)的作品のひとつといえるでしょう。

ただ、この「強引」な手法も、ビートルズの手にかかると「ああ、こういう曲なんだな」と不自然さを感じるよりも「普通の曲」として聴いてしまうところがすごいところです。

「レボリューション9」

「ホワイトアルバム(THE BEATLES)」に収録されてるジョンの「レボリューション9」はミュージック・コンクレー(musique concrète)的な曲(作風)に仕上がっていて、これは特に、前衛音楽的な発想・アプローチが感じられる曲です。

「レボリューション9」までくると、ビートルズの曲というよりビートルズのたとえば絵画的な芸術作品に思えてしまいます。

当時の最先端テクノロジーに目を向けていたビートルズ

ビートルズが活躍した60年代後期は、レコーディングのシステムやシンセサイザーなどの電子楽器が驚異的な発達をみせた時期でした。

もちろん、デジタル全盛の現在のテクノロジーには及びもしませんが、まだまだアナログ全盛時代にあれだけの功績を残したビートルズはやはり「すごい」といわざるをえません。

また、ビートルズの場合、単にそのテクノロジーを使うだけでなく、その技術を取り入れながらビートルズのロックであり、ポップであるサウンドを作り上げていたところが実に素晴しいところだと思います。

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