この記事では現在でも多大な影響を及ぼす偉大なグループ「ビートルズ」の8枚目のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」発売後~マネージャー「ブライアン・エプスタイン」の死ぐらいまでの流れを大まかに書いています。
世界はサイケデリック・ムーヴメント(フラワー・ムーヴメント)
1967年6月1日に英国で、そして2日に米国で「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が発売されたのに呼応するかのように、世界はサイケデリック・ムーヴメント(フラワー・ムーヴメント)に彩られ始めました。
その頃の米国は激化していたベトナム戦争に対する若者たちの批判が高まり、それにサイケデリック・ムーヴメント(フラワー・ムーヴメント)が相まって若者たちが個々の自由を追求するスタイルが流行り始めます。
またその頃、米国では初のロック・フェスティバルと位置づけられているモンタレー・ロック・フェスティバルの準備が進んでいて、ポールはその実行委員として名を連ねていました。
歴史的なテレビ番組「アワ・ワールド」出演
1967年6月25日、世界初の世界同時衛星放送番組「アワ・ワールド」にビートルズが英国代表として出演。番組では新曲「愛こそはすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)」が披露されました。
ブライアン・エプスタインの死
コンサート活動をやめてアルバム「「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を発表し、そこからさらに新しい世界を模索していたビートルズのメンバーに悲報が入ります。1967年8月27日、ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインが睡眠薬の過剰摂取で亡くなってしまいました。
ブライアン・エプスタインは、ビートルズがまだ無名の頃からここまで苦楽を共にしてきたマネージャー。当時はまだ大手のレコード会社から見向きもされなかったビートルズを「エルヴィスよりビックになる!」と信じて疑わず、スタジアムでコンサートを行うレベルの超人気アーティストへと育て上げた人物。
ブライアン・エプスタインの死の知らせにビートルズのメンバーは意気消沈しました。ここまで苦楽を共にしてきた有能なマネージャーを失い、バンドの今後の方針を固めていく必要に迫られたビートルズの決断は「これからは自分たち自身でビートルズをマネージメントをしていく」ということでした。
現在では、ミュージシャン・アーティストが個人の事務所を運営し切り盛りしていくということはよくあることになっていますが、当時の音楽ビジネス界では画期的なことでした。
ポールの自宅でミーティングを行ったビートルズ
「これからは自分たち自身でビートルズをマネージメントをしていく」と決めたビートルズのメンバーはポールの自宅でミーティングを行い、もろもろの事情で延期となっていた自主制作映画の企画を復帰させることにしました。
その映画のタイトルは、ポールが「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のレコーディング終了直後の米国旅行の帰りに閃いた「マジカル・ミステリー・ツアー」に決まりました。
当時の米国ではヒッピー・コミューンを立ち上げたケン・キージーという人物が「ファーザー」と名付けたバスで日本でいう「珍道中」のような感じでハイウェイを走りまわっていたそうで、ポールはその光景にまずインスパイアされ、そこにビートルズのメンバー4人がリヴァプールで幼少期によくみられた行き先を知らされないバス・ツアーを発展させたアイディアも加わり「マジカル・ミステリー・ツアー」となったといわれています。
映画「マジカル・ミステリー・ツアー」
映画「マジカル・ミステリー・ツアー」は、ビートルズのメンバーが企画し脚本を書き、監督までした作品でした。リンゴの自宅で行われた「ブルー・ジェイ・ウェイ(ジョージの作品でアルバム収録曲)」の撮影を最後に、映画「マジカル・ミステリー・ツアー」はクランク・アップしましたが、ブライアン・エプスタイン亡き後、当時のパーソナル・アシスタントであったニール・アスピノールは完成したフィルムをどこに渡せばいいのかと考えあぐねていましたが、結果的には英国の公共放送局であるBBCでクリスマス近辺の日に(1967年12月26日)に放映されることになりました。
しかし、BBCでの映画のテレビ放映で誤算が生じます。BBCはサイケデリック風で極彩色で彩られていたこの映画をなんと白黒で放送してしまいました。白黒のモノクロームでは映画「マジカル・ミステリー・ツアー」の本来の奇抜さも迫力も十分に視聴者に伝えることが出来ず(それでも視聴率は75%)、英国のマスコミはここぞとばかりにビートルズも失敗することがあるという点だけをフューチャーし「ビートルズの才能が枯渇した」とまで騒ぎ立てました。
この件に関しジョンは「BBCの間抜け」、ポールは「映画を台無しにされた」と語っています。ですがポールは白黒でも映画の中の「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のシーンでジョンが歌っているのを観るだけでも価値があるともコメントしています。
ただ、後に極彩色で彩られ、オムニバス形式のようなのストーリーの映画「MTVの先駆け」とも絶賛もされています。
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