この記事では現在でも多大な影響を及ぼす偉大なグループ「ビートルズ」のアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」制作~発売までの流れについて大まかに書いています。
アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」
1967年12月26日にBBCでTV放映された映画「マジカル・ミステリー・ツアー」にはビートルズの6曲の新曲が使用され、これらの曲は英国で2枚組EP(2枚の7インチ・レコードにそれぞれ3曲を収録)という形で1967年12月8日に発売されました。この2枚組EPは映画の写真、歌詞、漫画(絵物語)が掲載されたブックレット付の見開きジャケットに収められ、当時の通常のアルバムと同様にモノラルがステレオが選択可能でした。
米国ではアルバムとしてリリースされた「マジカル・ミステリー・ツアー」
英国では2枚組EP盤として発売された「マジカル・ミステリー・ツアー」でしたが、EP盤の時代はもう終わっているとみなされていた米国(キャピトル)ではLP版として映画で使用された6曲がサイド1(いわゆるA面)に収録されサイド2(いわゆるB面)にLPに未収録だった近作のシングル曲から5曲が収録されているという形でアルバムとして発売されました。
1枚のLPとして発売されたアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」は、ジョンも絶賛のアルバムとなり、ビートルズ・ファンからも重宝されたようです。
アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」の制作過程
アルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」のタイトル曲は1967年4月25日に着手されており、これは前作アルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が完成したわずか4日後のことでした。映画に使用された6曲のうち、タイトル曲「マジカル・ミステリー・ツアー」を除いた5曲(フール・オン・ザ・ヒル、フライング、ブルー・ジェイ・ウェイ、ユア・マザー・シュッド・ノウ、アイ・アム・ザ・ウォルラス)のレコーディングは1967年8月~10月の期間に集中的に行われています。
それ以外のアルバム収録曲は長期間にわたってレコーディングされており、一番レコーディングが早かった曲「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」が1966年11月のレコーディングで、翌年1967年10月「ハロー・グッドバイ」が最後のレコーディングされました。
アルバム・サウンドの特徴
映画で使用された6曲は前作「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のレコーディングで顕著だった実験精神が引き継がれています。
また、シングルとして発売されていた5曲、ハロー・グッドバイ、ストロベリー・フィールズ・フォーエバー、ペニー・レイン、ベイビー・ユーアー・ア・リッチ・マン、愛こそはすべて(オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ)も前作「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」とレコーディング期間が重なっているせいか、SEや奇抜なアレンジを取り入れた実験的な曲となっています。
このような制作過程からこのアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」の特徴をあえて言うなら前作である「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の延長線上にある兄弟・姉妹盤と表現してもいいかもしれません(「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のアルバムとしての絶大な評価は別として)。
アルバムのバックグラウンド
ジョンが幼いころに好きでよく読んでいたルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」の「セイウチと大工」にインスパイアされたといわれている「アム・ザ・ウォルラス」とジョンの思い出の孤児院を歌った「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」、ポールが故郷リヴァプールに実在する通りの名前をモチーフにした曲「ペニー・レイン」、そして「マジカル・ミステリー・ツアー」のアイディアのひとつがビートルズのメンバーの幼少時代、リヴァプールによくあった「行き先のわからないバス・ツアー」であることを考えると、偶然にも前作「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のコンセプトであった「昔の思い出にちなんだ曲を集めたアルバム」という共通点があり興味深いところです。
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