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ビートルズのサウンド作りに貢献していたアコースティック・ギター(エレアコ)「ギブソン・J-160E」

ギブソン・J-160E
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リッケンバッカー325、グレッチ・カントリー・ジェントルマン、そしてカール・ヘフナー・ベースと同様に、特にビートルズ初期のアコースティック・ギター・サウンド作りに貢献していた楽器に「ギブソン・J-160E」というアコースティック・ギター(正確には少し違う)があります。

この記事では、その「ギブソン・J-160E」について少し書いてみたいと思います。

ギブソン・J-160E

ギブソン・J-160Eは、ギブソン社から1954年から現在に至るまで発売されているアコースティック・ギター・・・というよりは「エレクトリック・アコースティック・ギター(通称:エレアコ)」と言った方が正しいかもしれません。

ギブソン・J-160Eは、ギブソン社のアコースティック・ギターの代表的なモデルである「J-45」とほぼ同様のスタイルのギターなのですが、「P-90」と呼ばれるギブソン社のエレクトリック・ギター用シングル・コイル・ピック・アップが一つ搭載されています。

ギブソン・J-160Eの特徴

ギブソン・J-160Eの主な特徴は、アコースティック・ギター・ボディに前述のピックアップが搭載(ネックとサウンド・ホールの間)されたいわゆる「エレアコ」であるという点です。ボディ形状から見ると、ピック・アップとボリュームとトーンそれぞれ一つずつのコントール・ノブがあることで同社の「J-45」との見分けをすることが出来ます。

現在におけるエレアコのサウンドの増幅方法の主流は、1970代に開発されたピエゾ・ピック・アップ使用がメインとなっていて、このピック・アップにより、アコースティック・ギターの生音に近い音質を出すことが出来るのですが、J-160Eに搭載されていた「P-90」というピック・アップは元々エレクトリック・ギター用のピック・アップなので、構造上はいわゆる「フルアコ」のエレクトリック・ギターとほぼ同じになってしまいます。そのため、アンプを通して音を出した場合、アコースティック・ギターよりもエレクトリック・ギターに近い音になります。そして、コントロール部分は前述の通りボリュームとトーンがそれぞれひとつずつセットされています。

また、ピックアップを搭載にアンプを通して音を出すことが前提となっているために、ハウリングを抑えるためにボディ内部の力木(ブレイジング)に「ラダーブレイジング」を採用(通常はエックスブレイジングかダブルエックスブレイジングを採用しているアコースティック・ギターが多い)しています。

ボディ・トップは初期には「単板」が用いられていましたが、アンプを通して音を出す前提のためこちらも「鳴り」やハウリングを抑える「スプルース合板」に変更されています。その他、サイドやバック、そしてネック部分はマホガニー、指板部分はローズ・ウッドで、ボディ・カラーは「サンバースト」です(ただ、ジョンは、このJ-160Eの塗装をはがして使用していた時期もある模様)。

以上のような理由から、J-160Eをアンプを通さずアコースティック・ギターとして使用した場合、同社の「J-45」と比較すると、「鳴り」を抑えている分、音量は小さめ、そして、サドルの高さを簡単に調整できるブリッジ(アジャスタブル・システム)を採用していることもあり、サスティーン(音の伸び)もやや短めで、音質は硬めになっています。

ビートルズ時代、J-160Eを主に使用していたのはジョン・レノン

ビートルズ時代、このJ-160Eを主に所持&使用していたのはジョン・レノンでしたが、ジョージもこのJ-160Eを所持&使用していました(ポールもJ-160Eを所持していたようですが、それがビートルズ時代だったかどうかまでは不明)。

J-160Eは、ピック・アップ搭載で、アンプに通して使用する前提だったため、通常のアコースティック・ギターよりもハウリングを抑えるために、ギター自体の「鳴り」を抑える使用になっていたとは言え、そこはギブソンのJ-45に代表されるジャンボ・モデル。豊かな低音域と高音域の「キレ」はなかなかのギターで、特にコード・サウンドであれば、あの「マーチン」のアコースティック・ギターにも決して引けを取らないサウンドを生み出します。

J-160Eは、どの曲、どのアルバムでプレイしてたのか?

初期~中期のビートルズのアコースティック・サウンドが聴けるシングル・リリース曲、アルバム収録曲で、主にジョン(あるいはジョージ)がメイン・ボーカルのは、基本的にこの「J-160E」を使用していたと考えて問題ないと思われます。ただし、ポールがメイン・ボーカルの曲(シングル、アルバム・レコーディング曲)に関しては、ポール自身がアコースティック・ギターをプレイしている可能性があるので、そのような曲の場合は「J-160E」以外のアコースティック・ギターである可能性が高いです。

ビートルズは、基本的にこの「J-160E」をライブなどのステージ演奏では、アンプを通して音を出していることがほとんどだったと思われますが、スタジオ・レコーディングでは、アンプは通さずに普通のアコースティック・ギターとして扱っていたと思われます。

「J-160E」はビートルズの映画やプロモーションビデオ、また、写真集などに多くの映像・画像が残っているので、いろいろ確認して「この曲のアコースティック・ギター・サウンドは、J-160Eかな?」などとご自身で推測・確認してみるとおもしろいのではないかと思います。

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