この記事では現在でも多大な影響を及ぼす偉大なグループ「ビートルズ」の5枚目のアルバム「ヘルプ!」発売後~6枚目のアルバム「ラバー・ソウル」発売ぐらいまでの流れを大まかに書いています。
シェイ・スタジアム・コンサート
主演映画公開、アルバム「ヘルプ!」リリース後の1965年8月15日、ニューヨーク・メッツのホームである「シェイ(シェア)・スタジアム」で当時の観客動員数でも収益でも世界記録を樹立したロックン・ロール史上初の歴史的なコンサートが行われます。
演奏された曲は
- ツイスト・アンド・シャウト
- シーズ・ア・ウーマン
- アイ・フィール・ファイン
- ディジー・ミス・リジー
- 涙の乗車券(ティケット・トゥ・ライド)
- みんないい娘
- キャント・バイ・ミー・ラヴ
- ベイビーズ・イン・ブラック
- アクト・ナチュラリー
- ア・ハード・デイズ・ナイト
- ヘルプ!
- アイム・ダウン
このコンサートではジョンが「アイム・ダウン」でオルガンをプレイしている珍しいシーンも見られました。
6枚目となるアルバムのレコーディング開始
歴史的なコンサートといえる「シェイ(シェア)・スタジアム」でのコンサートでしたが、当時はまだ巨大なステージでの演奏に耐えうるモニター・スピーカーやPA・システムもなく(しかも故障も多かった)、凄まじい歓声で歌や演奏がかき消されてしまうビートルズのメンバーのストレスは相当のものだったでしょう。
そのような状態のコンサートには不満が募る状態であったものの、それに反比例するかのようにビートルズのメンバーの創作意欲は高まっていきます。そして、1965年10月に6枚目となるアルバムのレコーディングがスタートします。
レコーディング初日に演奏された曲は「浮気娘」と「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」。当初「This Bird Has Flown」と呼ばれていた「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」には、ジョージが演奏する「シタール(インド音楽の楽器)」が初導入されました。
ジョージはこれ以降、ビートルズ・サウンドにインド音楽をミックスするようになります。そして音楽だけでなくインドの精神世界にも興味を示すようになります。
このアルバムから実験的な試みが始まった
レコーディング初日から「シタール」を導入するなど、ビートルズは「ロックン・ロール」「リズム・アンド・ブルース」というカテゴリーからさらに幅広いジャンルを目指し始めようとしていました。
また、ジョンは後に「この6枚目アルバムから自分たち(ビートルズのメンバー)がレコーディングのイニシアチヴをとるようになった」と回想しています。
ソング・ライターとしてリンゴの名前が初クレジットされる
6枚目のアルバムの発売予定日まで残り1か月となった11月、この時点ではまだ収録予定曲数の半分しかレコーディングされていませんでした。
そこで、1963年にレコーディング予定だったレノン=マッカートニー・ソングをリンゴの意見を加えてリメイクし、リンゴの曲として「消えた恋」をレコーディング。この曲がリンゴのソング・ライターとして初めてクレジットされる記念すべき曲となりました。
アルバムの締め切りが差し迫った時点でもまだ3曲足りない状況であり、ポールが「ユー・ウォント・シー・ミー」、ジョンが「ガール」を持ち寄りました。そして残る1曲にはアルバム「ヘルプ!」でボツになっていた「ウェイト」を使うことにしてなんとか6枚目のアルバムのレコーディングが終了。
6枚目のアルバム・タイトルは「ラバー・ソウル」
こうして完成したビートルズの6枚目のアルバム「ラバー・ソウル」は英国で1965年12月3日に発売されました。
このアルバムにはレノン=マッカートニーの曲が11曲、ジョージの曲が2曲、レノン=マッカートニー=スターキーという一度限りのクレジットの曲が1曲の合計14曲が収録されています。
「ラバー・ソウル」はチャートの首位を獲得し、ビートルズは3年連続でクリスマス・チャートの首位を独占することとなり、「ラバー・ソウル」は9週間首位をキープして、チャートには42週ランク・インされました。
また、6枚目のアルバム「ラバー・ソウル」と同日には、ビートルズ11枚目のシングルとなる「恋を抱きしめよう/デイ・トリッパー」がビートルズ初の両A面シングルとしてリリースされ、アルバム同様こちらもチャートの首位を獲得しています。
おまけ:当時のバンドはお互いに影響し合っていた
「ラバー・ソウル」に収録されているジョージの曲「恋をするなら」ではジョージが得意とするリッケンバッカーの12弦ギターが使用されていますが、米国のバンド「ザ・バーズ」のロジャー・マッギンは、このジョージの12弦ギター・サウンドに多大な影響を受け、ザ・バーズでもビートルズ的なサウンドを生み出そうと試行錯誤していました。
一方で、ジョージはこのザ・バーズの曲である「チャイムズ・オブ・フリーダム」という曲のイントロ・リフから「恋をするなら」を作ったといわれています。
また、同じく米国のバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」のブライアン・ウィルソンはこの「ラバー・ソウル」の米国盤(収録曲は若干違う)を聴いて、アルバム「ペット・サウンズ」を作ることになったといわれています。
そしてポールは、このアルバムから使用されるリッケンバッカーのベースを「ザ・フー」のベーシストであったジョン・エントウィッスルが使っているのを見て手に入れたといわれてます。
このように当時のバンドはお互いに影響をし合って巨大な音楽ムーヴメントを作り出していました。
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