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ビートルズ・ストーリー(アルバム「ラバー・ソウル」発売後~7枚目のアルバム「リボルバー」発売)

ビートルズ ビートルズ・ストーリー
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この記事では現在でも多大な影響を及ぼす偉大なグループ「ビートルズ」の6枚目のアルバム「ラバー・ソウル」発売後~7枚目のアルバム「リボルバー」発売ぐらいまでの流れを大まかに書いています。

ビートルズ最後の全英ツアー

前作「ラバー・ソウル(英国で1965年12月3日発売)」の発売日にビートルズは英国ツアーを開始しました。1つの会場で2公演を行い、この12月に9カ所を巡りました。結果的にこれがビートルズの最後の全英ツアーとなってしまいます。

この全英ツアーが終わるとビートルズのメンバーはライヴとレコーディングを離れて長期の休暇をとります。

7枚目のアルバム・レコーディング開始

長期の休暇の後、ビートルズのメンバーは1966年4月にアビー・ロード・スタジオに入り、以降3カ月レコーディング作業を続けます。

同年4月6日、ビートルズはニュー・アルバムのレコーディングをニュー・アルバムのラストを飾ることになる革新的な曲「トゥモロー・ネバー・ノウズ」でスタートしました。

この曲の歌詞は当時のヒッピー・ムーヴメントを牽引した人物であるティモシー・リアリーの本に影響を受けたものだと言われています。

まるでメロディーを無視したかのようなこの曲の歌は、当時のポップ・ミュージック・シーンでは類を見ない実験的なものでした。

さらにこの曲は現在では当たり前となった「ループ」という手法を使ったサウンド・メイキングも斬新でした。

テープ・ループのアイデアを持ちだしたのはポールで、ポールは当時ロンドンのアンダーグラウンド・シーンを徘徊し、ロンドンのアヴァンギャルド・シーンにかなり精通していたそうです。

「トゥモロー・ネバー・ノウズ」は、このニュー・アルバム全編で用いられることになる数々の新たなスタジオ・テクニックを初めて導入した曲で、逆回転させたギター・サウンドやヴォーカルの特殊効果などが含まれています。

この曲の後半部分で用いられたヴォーカル効果は、ジョンの声をレズリー・スピーカー・キャビネットを通すことで得られた効果です。

レズリー・スピーカーは通常ハモンドなどのキーボードに繋がれている回転スピーカーで、キーボードの音に独特なヴィブラート効果をもたらします。1966年当時ビートルズがレコーディングで使ったようにそこに声を通した人はいなかったと言われています。

アルバム・バンドとしての力を発揮し始めたビートルズ

現在では「ロック」というひとつの音楽ジャンルが確立されていますが、当時はロックン・ロールやポップスと呼ばれておりまだ「ロック」というジャンルが現れる直前の黎明期で、ビートルズがこのアルバムで行ったロックンロールと前衛音楽をミックスするという大胆な発想は当時ではかなりレアな事でした。

さらに「トゥモロー・ネバー・ノウズ」におけるジョンの哲学的であり難解な歌詞は、これまでのロックン・ロールやポップスの枠を超えており、ビートルズはメロディアスでいわゆる「歌モノ」であった前作「ラバー・ソウル」から数ヶ月で劇的な変化を遂げることになりました。

ロックン・ロールは当時のいわゆる「流行歌」でしたが、ビートルズはこのニュー・アルバムで「ロックン・ロールはひとつのアートの形だ」とアピールしたのです。

7枚目のアルバム・サウンド

「トゥモロー・ネバー・ノウズ」でレコーディングが始まった7枚目のアルバム・サウンドは、「トゥモロー・ネバー・ノウズ」のアバンギャルドなサウンドや「アイム・オンリー・スリーピング」の逆回転など多くの実験的な試みが行われているのが特徴的といえます。

ただ、このニュー・アルバムでビートルズは実験的なことだけではなく、これまでやってきていたことにさらに深みを加えていきます。

ポールは「イエスタデイ」で成功した弦楽の導入をさらに進め、「エリナー・リグビー」で「イエスタデイ」の倍である弦楽八重奏を導入。また、「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」でモータウン・サウンドをオマージュしたかのような初のブラス・セクションを導入して新境地を開き、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」ではバンド編成におけるバラード・スタイルを追求します。

ジョージは「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」で使用したシタールやタンブラーを「ラヴ・ユー・トゥ」や「トゥモロー・ネバー・ノウズ」で効果的に導入。また、ジョージは自身の曲「ラヴ・ユー・トゥ」でインド音楽を追求し、「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー」でインド音楽に影響を受けたロックン・ロール、いわゆる「ラーガ・ロック」の元祖を作り出します。

使用楽器の面では、ジョンもジョージもフェンダーのストラトキャスターメインとして使用しており、それまでのリッケンバッカーやエピフォン・カジノとはひと味違ったストラトキャスターの特徴ともいえるエッジの効いたギター・サウンドを聴くことが出来ます。

後のメンバーの証言でこのニュー・アルバムでは「高音を上げるならフルに、下げるならゼロに」という業界ではご法度ともいえる過激なイコライジングを実験しています。トレブル(高音)がフルに上げられたギター・サウンドはそれまでのビートルズのアルバムではなかったサウンドであり、このアルバムの重要なトーンともなっています。

ニュー・アルバムに先行して12枚目のシングル発売

このレコーディング・セッションで作られた曲で我々リスナーが聴くことが出来た最初の曲が同年6月にパーロフォンがビートルズの12枚目のシングルとして発売した「ペイパーバック・ライター/レイン」でした。

「ペイパーバック・ライター」のレコーディングでポールは「いかにしてベースの音圧を上げるか?」を課題としており、今までよりもさらに存在感のあるベースをプレイしています。

リンゴは「レイン」で自身がベストと称するドラミングを披露していて、ポールのベースとユニゾンで繰り広げるフィル・インの応酬は、プログレッシヴのはしりでは?と言われています。

7枚目のアルバム「リボルバー」発売

1966年8月5日、ビートルズ7枚目のアルバムとなる「リボルバー」が英国で発売(初登場全英チャート1位)。前作「ラバー・ソウル」の8カ月後の発売は、ビートルズのアルバムとアルバムの間隔としてはそれまでで最長となりました。

なお、ジョージはこの「リボルバー」で「タックスマン」、「ラヴ・ユー・トゥ」、「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー」の3曲を提供し、バンド内での存在感を増しています。

アルバムのジャケットはビートルズの無名時代のハンブルグで交友のあった元美大生の友人クラウス・フォアマンが手掛けたもので、自身で描いたビートルズの線画と写真のコラージュと織り交ぜた作品となっており、斬新なアルバムの内容を上手く伝える仕上がりとなっています。

ビートルズはこのアルバム「リボルバー」で意図的に「これまでになかったサウンド」を提示。このアルバムを聴いた他のミュージシャン達もこのアルバムのサウンドを研究して影響を受けることになります。

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