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ビートルズが「カリプソ」や「イージーリスニング」から受けた影響

サウンドルーツ
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ビートルズ・サウンドのルーツと聞かれて最初に浮かぶイメージは、誰でもやはりR&RやR&Bとなると思いますが、ビートルズのアルバム収録曲や、デビュー前後のライブ演奏曲の中には、「カリプソ(calypso)」的なリズムが、ベースになっている曲や、たとえば映画に使われる音楽のようなムード・ミュージックなどのイージー・リスニングの影響すら感じられる曲もあるのは実に興味深いところです。

R&RやR&B以外からの音楽的影響「カリプソ」

カリプソ(calypso)とは、カリブ海周辺で発展した音楽スタイルのひとつです。そのカリブ海周辺の国々の中でも特にトリニダード・トバゴのカーニバルで発達した音楽でリズムは4分の2拍子。これは、レゲエのルーツのひとつともいわれています。

ただ、ビートルズの場合は「カリプソそのまま」をカバーして演奏をしたというよりは、カリプソをビートルズ的なアレンジで楽曲に取り入れライブで演奏し、収録ていたというスタンスでした。例をあげると、初期のアルバム収録曲では、「P・S・アイ・ラヴ・ユー」「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」「アイ・フォロー・ザ・サン」「ミスター・ムーンライト」また、初期のバラードの名曲「アンド・アイ・ラヴ・ハー」もカリプソ的なリズムが曲のベースになっています。(但し、前面には押し出してはいない。)

また、後期のアルバム「ザ・ビートルズ(ホワイトアルバム)」に収録されている「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」のビートには、カリプソやスカ(注:1)の影響がかなり感じられます。

注:1 1950年代にジャマイカで発祥したポピュラー音楽。
    
2、4拍目を強調したリズムが特徴。

なんと、映画音楽やムード・ミュージックの影響まで?!

初期のアルバム「ビートルズNO.2!」を聴いていると、軽快なR&R、あるいはR&Bのカバー、また、ビートルズのオリジナル曲に混じって突然「蜜の味」というまさにムード・ミュージックという曲が登場して戸惑います。

ただ、個人的にはポールが歌う「蜜の味」も好きです。ビートルズはこの「蜜の味」だけでなく、初期の頃や、デビュー前のライブなどで「たとえばベサメ・ムーチョ」「サマー・タイム」「夕日に赤い帆」さらに「ビギン・ザ・ビギン」「ラスト・ダンスは私と」等も演奏しているのでまだ聴いたことのない方は一度オリジナルと聴き比べるといいかもしれません。

メンバーの中で特に影響を受けていたのは「ポール」?!

ただ、カリプソや映画音楽、ムード・ミュージックなどに限ってその影響が強く感じられるのは、ビートルズのメンバーの中では断トツでポールです。それは、ポール自身が作った曲はもちろん、ライブなどで演奏しているカバー曲でも、メイン・ボーカルがポールという場合が多いのでほぼ間違いないと思います。

R&RやR&Bほどの決定的な要素ではないが・・・

ビートルズがこれらの映画音楽やムード・ミュージックをライブで演奏するようになった経緯は定かではありませんが、おそらくデビュー前やデビュー直後、リヴァプール、ハンブルグのクラブやキャバレーでの客のリクエストに応じてあくまでも「ビートルズ流」に演奏していたのではないかと思われます。

ただ、ビートルズ・サウンドを語る上では、これらのカリプソや映画音楽、またムード・ミュージックからの影響は、R&RやR&Bに比べれば「おまけ程度」のものかもしれません。

ですが、のちのビートルズのオリジナル作品に与えた影響は少ないとは言い切れないでしょう。たとえば、R&RやR&B、それから、カントリーにはない複雑なコード進行や転調などはこれらの曲をコピー、カバーしているうちに自然に身についていたのではないかという可能性も十分に考えられます。

いまさら言うまでもありませんが、ビートルズのメンバーそれぞれがジャンルにとらわれず幅広く音楽を聴いていたことは、間違いなくビートルズの強みであり、その後の大成功に寄与したことは間違いないでしょう。

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