ビートルズのサウンド・ルーツは?と考えて、まずはじめに思い浮かぶのが「R&R」と「R&B」。黒人ミュージシャンのチャック・ベリーや、マディー・ウォーターズなどからは、ビートルズと同時期に活躍した、ローリング・ストーンズやアニマルズなどのバンドも同じように影響を受けていて、それぞれのバンドがこれらのアーティストの曲をカバーしていますが、(中には同じ曲をカバーしている場合も!)楽曲へのアプローチはバンドによって異なっています。
ビートルズのR&Bは、黒っぽさを感じさせない?!
R&RとR&B、中でも黒人アーティストによる楽曲をカバーした場合、ストーンズやアニマルズがいわゆるブラック・ミュージックに憧れ、それ(黒人)になりきろうと「黒っぽさ」を前面に出したのに対して、ビートルズは、ブラック・ミュージックの「ワイルドなスタイル」に重点を置き楽曲をカバーしていたのではないかと考えています。
その点については、以下のジョンの発言からもうかがえます。「ブルースはあくまでの基本であり、ビートルズのサウンドはブルース的ではありません。なぜかというと、私たちは黒人ではないからです。」
黒っぽさを感じさせない黒人「チャック・ベリー」
1960年代に活躍したバンドに多大な影響を与えたのが、チャック・ベリー。彼は自身が活躍していた50年代からR&Rにラテンのリズムを取り入れたり、他の数多くの黒人アーティストと違い「黒っぽさ」をあまり感じさせないミュージシャンでした。ビートルズのメンバーが、特に彼に魅力を感じ、ひきつけられたのはこの点が大きいのではないかと思っています。
黒っぽさを前面に出さないR&Bが好みだった?!
ビートルズはあまり前面に黒っぽさを出さないR&Bが好みだったのではないかと思っています。たとえばビートルズは、チャック・ベリーのほかにも、リトル・リチャードの「のっぽのサリー」やラリー・ウィリアムスの「ディジー・ミス・リジー」などをカバーしていますが、比較的「泥臭さ」や「重さ」さをあまり感じさせない曲(アーティスト)、どちらかというと「ポップ」で「エネルギッシュ」な作品をレパートリーとして演奏し、カバー曲として作品を残していることからも感じ取ることができます。
ビートルズとストーンズを聴き比べるとおもしろいかも?!
チャック・ベリーをはじめとして、様々なR&R、R&Bの楽曲をビートルズや60年代に活躍したバンドがカバーしています。その中でも比較的手に入りやすいのが、ビートルズとローリング・ストーンズの音源です。
特に、初期のこの両者のアルバムを聴き比べると、各黒人ミュージシャンへのアプローチの違いがわかりおもしろいかもしれません。同じチャック・ベリー楽曲でも、バンド全体のアプローチはもちろんのこと、ジョンやポールとミック・ジャガーの歌い方、表現のしかたの違い、ジョンやジョージのギターとキース・リチャーズとブライアン・ジョーンズのR&Bへのアプローチの違い(C・ベリーなら特にキース)がわかって、非常に興味深いです。
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