この記事では現在でも多大な影響を及ぼす偉大なグループ「ビートルズ」の4枚目のアルバム「ビートルズ・フォー・セール」発売後~5枚目のアルバム「ヘルプ!」発売ぐらいまでの流れを大まかに書いています。
「ビートルズ・フォー・セール」リリース後のビートルズ
4枚目のアルバム「ビートルズ・フォー・セール」がリリースされヒットチャート入りしてから約2カ月後の1965年2月、ビートルズのメンバーはスタジオに入り2作目となる主演映画のサウンド・トラックでもある5枚目のアルバムのレコーディングを開始しました。
2月のレコーディング・セッションが終わるとビートルズはバハマ諸島で映画の撮影。撮影はオーストリア、ウエストロンドンなどといったロケ地を転々し、室内シーンは映画スタジオで撮影されるという流れで5月まで続きました。
1965年4月9日には、5枚目のアルバムの先行シングルとして「涙の乗車券(ティケット・トゥ・ライド)/B面はイエス・イット・イズ」がリリースされ全英チャートで1位を獲得します。
ビートルズにMBE勲章が授与される
そして同年6月にはビートルズに大英帝国勲位でいわゆるMBE勲章が授与されます。MBE勲章授与は、若手のポップ・スターとしてはいままで与えられたことのない栄誉でした。
この時までにビートルズは外貨獲得で英国に大きな貢献をしていて、国を豊かにしていました。それにもかかわらず、何人かの元軍人たちが「ビートルズと一緒にされては不名誉」として勲章を返還してしまいます。
この行為に対してジョンは、「戦争で人を殺して勲章をもらうよりも、人を楽しませた俺たち(ビートルズ)のほうが勲章をもらう価値がある」と反論しました。
1965年7月23日には、2作目の主演映画のタイトル・ソングでもある10枚目のシングル「ヘルプ!(B面はアイム・ダウン)」がリリースされ、全英チャートで4週連続1位、全米チャートで3週連続1位に輝きます。
1作目の主演映画と同じくリチャード・レスター監督のビートルズ2作目の主演映画「ヘルプ!4人はアイドル」は英国で1965年7月29日に公開(米国では8月、日本では11月公開)されました。前作がモノクロだったのに対し、今作はフルカラーで撮影されています。
5枚目のアルバム「ヘルプ!」リリース
1965年8月6日、英国でビートルズ5枚目のアルバムとなる「ヘルプ!」がリリースされます。このアルバム「ヘルプ!」は全英チャートで通算15週1位に輝きました。
英国盤LPでは主演映画のサウンド・トラック1作目「ハード・デイズ・ナイト」と同様に映画で聴くことができる7曲をA面に、それ以外の曲をB面に収録するという形になっています。
米国では、映画の配給会社であるユナイテッド・アーティスツから収録曲を替えてリリースされ、全米チャートで9週連続1位に輝いています。
ジョンの苦悩と変化
ポップでキャッチーな曲に乗って歌われているこのアルバムのタイトル・ソングである「ヘルプ!」は、後にジョンがメッセージ・ソングであったと回顧しています。
ビートルズの人気絶頂期であったジョンですが、有名になり勲章までもらったビートルズのコンサートには地元の有力者や政治家まで来るようになってしまい「気がついたら、若い頃に自分が思い描いていたこととは正反対になっていた」という苦悩を抱え込んでいたようです。
ジョンはこの後、様々な内省的な曲やメッセージ・ソングを作りますが「ヘルプ!」はその原点だったのかもしれません。
「イエスタデイ」の誕生
ジョンが「ヘルプ!」を生み出したこの5枚目のアルバムでは、ポールも「イエスタデイ」を生み出し変化の時を迎えていました。
当初「スクランブル・エッグ」というタイトルだった「イエスタデイ」は、後にみなさんご存知のような世界のスタンダート・ナンバーとなります。
「イエスタデイ」はこれまでビートルズのようなロックン・ロール・バンドは騒音でしかないと思っていた大人たちをも魅了することとなり、ビートルズのリスナー層をさらに大きく拡大することになりました。
ただ、「イエスタデイ」発表以降「バラードのポール」というイメージが定着してしまったことには当時のポールは不服だったようです。
また、現在に至る曲の評価とは裏腹に「イエスタデイ」は当時の英国では「ビートルズはロックン・ロール・バンドだから」という理由(ポールの意見)でシングル・カットされていません。
アルバム「ヘルプ!」はビートルズのターニングポイント?!
5枚目のアルバムでジョンは「ヘルプ!」で精神面での変化、ポールは音楽的な変化を表し始めています。ジョージとリンゴの存在を軽視するわけではありませんが、ジョンとポール2人の異なる才能面がビートルズの大きな魅力であることには間違いないでしょう。
一般的にビートルズのサウンド面での評価はこのアルバム「ヘルプ!」までが前期で、次のアルバム「ラバー・ソウル」以降を後期と分けられることが多いですが、このアルバムにおけるジョンとポール2人の変化は、ビートルズのターニング・ポイントとして捉えることができるのかもしれません。
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